気づいたらそこは沼だった
「てゆーか何がそんなに好きなの?ツバサでしょ?詐欺師だとかよく炎上してたりいい印象ないじゃん。すぐニュースになっててさ…」

器用にフォークでパスタを巻きながら言うチナツにミユキもうんうんと頷いて

「なんでそんなに好きなの?アイリだったらもっと素敵な人と出会えるでしょ?」

なんて言われる始末。2人は心配からの言葉だと分かるが、毎回毎回このように言われる。

「じゃあチナツはツバサの何を知ってるの?炎上してすぐニュースになって…そういう部分しか知らないんでしょ?ようはニュースしか見てないんでしょ?」

とたまには私も強く言い返す。だって好きな人の事を悪く言われるのは嫌だから。それにチナツの言葉はツバサの表面上しか見てない言葉に私もカチンとくる。

「なんでそんなに好きなの?って言われてもそれは分からない。気付けば好きになってて後戻り出来なくなってたから。もっと素敵な人って私から見たらツバサは素敵な人だし…」

そんな風に言うミユキは別れたばっかりじゃん。自分で素敵な人と思って付き合ったけど別れたんでしょ?ならそれはミユキにとって素敵な人じゃなかった事でしょ?なら分かったような口聞かないでよ!と言う言葉は飲み込んだ。

「じゃあさ、何がそんなに好きなの?」

「顔。」

とチナツの問いに食い気味に答える。

「えっ?顔なの?」

「なんでそんなに驚くの?」

凄いびっくりした顔をこちらに向けるミユキ。

「だってなんかもっと違うこと言うかと思ったから」

未だびっくりしており、飲み物を飲もうとグラスに伸ばした手が宙に浮いている。
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