可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 挨拶の後、宗介さんは会場を回り、群がる女性ゲストや女子社員たちに愛想よく対応していた。

 彼を取り巻く人のなかで、パステルカラーのドレスに身を包んだ若い女性が目を引いた。

 おそらく、彼女が社長のお嬢さんだろう。

 宗介さんに話しかけられて、真っ赤になって俯いている。
 緊張して、まともに話せない様子だ。

 父親に頼んで、会社のパーティーに推しの俳優を呼ぶなんて、どんなわがままなお嬢様かと思っていたけれど、見たところ、そういうタイプではなさそう。

 宗介さんを呼んだのは、お嬢さんを溺愛する社長の一存なのだろう。
 うちの社長、とにかく押しの強い人だから、充分、あり得る。

 でも、宗介さんとわたしが知り合えたのは、その社長のごり押しのおかげ。
 感謝しないといけない。
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