可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 話声が聞こえたのか、ノックする前に扉が開き、宗介さんが迎え入れてくれた。

 上着を脱ぎ、ボウタイのホックを外した姿がなんだかとても色っぽい。

 扉を閉めるなり、彼はわたしを抱きしめると、すぐに唇を合わせてきた。

「会いたかった」
「ん……だめ、こんなところで。人が来るから」

 わたしの抗議の声には耳をかさず、彼はさらにキスを深めてくる。
「宗……」

 両手で彼の胸を押すと、名残惜しげに唇を離したけれど、腕の力は緩めない。

 そりゃあ、わたしだって。
 もっとこうしていたいけど。

「もう……離して」
「まだいいだろう」
「でも、誰か来たら」
「じゃあ向井が戻るまで」

 彼の言葉が終わるか終わらないかのうちに、ドアの外で声がして、カチャとノブが回される音がした。

「なんだ、もう戻ってきた」
 わたしたちはあわてて離れた。
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