可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「そ、そんな願ってもないことです。本当にいいんですか?」

「ええ、急で大変でしょうけど、年明けに引っ越しを考えておいていただけるかしら」

「は、はい。わかりました。あの、ありがとうございます」

「わたしの仕事は、榊原から最高のパフォーマンスを引き出すことだから」
にこりともせず、彼女は言った。
 
 この間の温泉一泊といい、今回の件といい、向井さん、神だ。
 この場でひれ伏して拝みたい。

 宗介さんはそばに来て、わたしを優しく抱き寄せた。

「で、そのとき入籍だ」
「宗介さん。どうしよう。嬉しすぎて。夢を見てるみたい」
「夢じゃないよ」
 そう言って、彼はわたしに回した手に力をこめた。

 その姿勢のまま、ちらっと視線を向けると、向井さんは勝手にやってれば、といった風情で肩をすくめていた。
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