可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 抗議の気持ちを込めて、彼を横目でにらむ。
 中途半端に火をつけられて、身体のざわつきが収まらない。

「そんな残念そうな顔するなって。あせらなくても、夜は長い」

「明日の仕事は?」
「大晦日まで休み」
「えっ、2日間も休めるの!」
「ああ。怒涛の2カ月を乗り切ったってとこだな。だからさ……」

 彼はわたしをもう一度抱き寄せ、耳元で囁いた。

「だから心配しなくても、後でたっぷり可愛がってやるから」
「……うん」

 頷いてから、恥ずかしくなって彼の首筋に顔を埋めた。

 宗介さんはわたしの背中をぽんぽんと叩くと、ポケットからスマホを取り出して、言った。

「さて、何喰おうか」
「宗介さんに任せる」

「あのさ、さっきから言おうと思ってたんだけど『さん』はやめない? 他人行儀に聞こえる」
「でも、もう口癖になってるし」

「試しに宗介って言ってみてよ」
「……宗介」
「うん、やっぱそのほうがいい」

「わかった。努力する」
 彼はまた、ぽんと、わたしの頭を軽く叩いた。
< 136 / 185 >

この作品をシェア

pagetop