可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 亮介さんはビーフシチューを3皿平らげた。

「あー、うまかった。郁美さん、料理も上手なんですね」
「おい、味を占めて、ちょくちょく食べにきたりするなよ」
「ったく、兄貴は……俺をなんだと思ってるんだか」

 デザートはリビングに移動して食べることにした。

 わたしがシャーベットを持って後から行くと、さっそくいつもの言葉の応酬が始まっていた。

「えー、じゃあ、まだ郁美さんに指輪、渡してないの?」
「仕方ないだろ。暇がなかったんだよ! 先週までむちゃくちゃ忙しくて」
「先にプロポーズしちゃったんだ。順序が逆だって」
「本当にうるさいな、お前は」

 わたしはちょっと呆れて言った。
「また言い合いしてる」
「こいつがいちいちうるさいんだよ」

 亮介さんはわたしのほうに目を向けて言う。
「だって指輪、大事じゃないですか。ねえ」 

「うーん。そんなことないよ。結婚しようって言葉だけで充分」
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