可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 わたしは婚姻届の入ったファイルを亮介さんに手渡した。

「それで元旦に入籍届、お願いしてもいいかしら」
「ああ、いいですよ。めでたくていいな。俺も1月1日にしようかな。入籍日」
「あら。ということは、片想いの彼女とうまく行ったの?」

 亮介さんは左右に大きく首を振った。

「ぜんぜん脈ナシです。顔を合わせるたびに誘いはするんですけどね。いつも秒で断られてますよ。さてと。邪魔者は退散します」

「わたし、下まで送っていく」
「いいって。こいつにそんな気を使わなくても」
「もう、また、そんなこと言って。散々お世話になってるのに。コンビニで買い物もしたいから」

 宗介さんは仕方ないなって感じで肩をすくめた。


 エレベーターに乗り、1階に着くまでのあいだ、わたしは亮介さんに頭を下げた。

「本当に、いつも頼ってばっかりでごめんね」

「いえいえ、お役に立てて何よりです。それより、あんな兄貴だけどどうぞよろしくお願いします」
 そう言って、今度は亮介さんが深々と頭を下げた。

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