可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「そっちはいいとして、こっちが本題なんだけど」
 宗介さんはもう一枚、写真を出した。

 手に取ると、それは白樺の木立のなかに建つ、瀟洒(しょうしゃ)な西洋風の建物の写真だった。

 プチホテルか私設美術館のように見える。

「ここで芝居の公演があるの?」
 そうわたしが尋ねると、彼は首を振った。

「違うよ。これは事務所の会長の別荘。軽井沢にあるんだけど」
「えー、これが別荘なの?」
「ああ」

 さすが、一流芸能プロの会長。
 別荘も並みじゃない。

「明治の頃、来日したアメリカ人の資産家が建てたらしくて、敷地内に礼拝堂があるんだ」

 礼拝堂って、もしかして……

「そこで結婚式……とか?」

 わたしの言葉に、宗介さんは笑顔になった。

「当たり。さすが勘がいいな、郁美は。そこに牧師を呼んで式を挙げたらどうかって。と言っても身内の人間、それも親、兄弟ぐらいしか呼べないけどな」
< 153 / 185 >

この作品をシェア

pagetop