可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「でもなんで、わたしたちの結婚式をしてくれることになったの?」
「ボーナスの代わり」
「ボーナス?」

『コン恋』の評判が上々だったことに気を良くした社長が、ボーナス代わりになんでも希望を聞くと言ってくれたのだそうだ。

「外車でも何でも、欲しいものを言ってみろ」と言われて、すかさず「結婚式が挙げたい」と頼んだそうだ。

「式場を使えば、どうしたって噂になるし、海外に行く時間もないって言ったら、じゃあ、会長の別荘を使ったらどうだって話になってさ」

 そこまで話すと、宗介さんは急に真顔になり、申し訳なさそうに言った。

「ごめんな。本当に形だけのものしかできなくて。郁美は、式や披露宴に友達とか会社の人とか、大勢呼びたいだろうけど」

 わたしは即座に首を振った。

「ううん、そんなこと、ぜんぜん考えてなかった。ていうか、結婚式自体、まったく頭になかった……でも嬉しい。こんな素敵な場所で式を挙げられるなんて」
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