可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「そう言ってくれてほっとしたよ。で、できれば来月中にしたいんだ」

 ああ、たしかに。
 舞台稽古中のほうが、宗介さん、時間あるから。

 来月か。
 2月の軽井沢って、とっても寒そうだけど、観光するわけじゃないから問題ないし。

「雪のなかのウエディングなんて、考えただけでロマンティック」
 そう言って、わたしは快諾した。
 
 礼装の宗介さんか。
 うわー、楽しみすぎる。
 若干、期待するところが違う気もするけど。

 で、浮かれて鼻歌まじりで食事の後片付けをしていたら、宗介さんが後ろからわたしの腰に手を回してきた。
 そして、うなじに口づけを落とした。
「俺さ、どうしても郁美のウエディングドレス姿が見たかったんだ」

 宗介さんはうなじに唇を寄せたまま、手を胸に回し、(まさぐ)ってくる。
 
「ねえ、後片付けができない」
 わたしが抗議の声を上げると
「後にすればいい」と言って、後ろから水を止めてしまう。

「もう、あとちょっとなのに……」
「待てない」
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