可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 そうこうするうち、鍵が開く音がして、宗介さんがリビングに入ってきた。

「すみません。だいぶ、お待たせしてしまいまして」

 母は慌てて立ち上がって、頭を下げた。
 はじめはちゃんと彼の顔を見ていなかったらしい。

「はじめまして、郁美の母です……えっ?」

 そして顔を上げて、目を丸くして驚いた。

 宗介さんは母に歩みよると、手を差し出した。
「ご挨拶が遅くなり、本当に申し訳ないです、お母さん」

 握手をしながらもまだ、母は半信半疑の表情だ。

「あの、これって、もしかしてドッキリとかではないですよね」
 ようやく発した第一声がそれ。

 宗介さんに促されて、ソファーに座りながらも、母はまだキョロキョロ辺りを見回している。

「お母さん、テレビの見過ぎ」とわたしが笑いかけると、母はようやく事実だと認識したようで、急に興奮した口調で話しはじめた。
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