可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「だって、郁ちゃん、あなた、『榊原宗介』さんと結婚したなんて、一言も言わなかったじゃない。えー、お母さん、朝ドラも『コン恋』も欠かさず観てたのよ。こんなことがあるなんて……。だって、考えてみてよ。お母さんが結婚相手に『福山雅治』を連れてきたら、あなただって驚くでしょう?」

 そうだ。母は大のテレビドラマ好きだった。

「ごめん。ちょっと言えない事情があったから」

 母が落ち着くのを待って、わたしたちは、馴れ初めから順に経緯を話した。

 はじめは驚きを隠しきれない様子の母だったが、徐々に頷きながら熱心に耳を傾けてくれた。

「事情はよくわかったわ。榊原さんが郁美を大切に思ってくださっていることも。私もお父さんも、あなたたちの妨げになるようなことは誓ってしないから。どうか安心してね」

「ありがとうございます。お母さん」
< 160 / 185 >

この作品をシェア

pagetop