可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜

***

 その夜。
 予想に反して、10時過ぎ、宗介から「今から帰る」とメールが来た。

 それから20分ほどして、鍵の開く音が聞こえたので、わたしは急いで玄関に向かった。

「ただいま」
 宗介は荷物を手にしたまま、背をかがめて軽くキス。

 ツアー中は地方泊が多かったし、反省会という名の飲み会も多かったので、こうして玄関で出迎えるのはとても久しぶりだった。

「おかえり」
 わたしは、彼が持っていた花束の入った紙袋を受け取ると、部屋へと向かった。

「めずらしく、早く終わったんだね」

「いや、佐渡嶋先生さ、明日、健康診断なんだって。で、奥さんに早く帰ってこいって強く言われてたらしい。って、けっこう飲んだり食ったりしてたけど」
 
 仲間の俳優に二次会に誘われたけれど、明日忙しいといって帰ってきた、と宗介は言った。

「シャンパン、買ってきたんだ」とわたしが言うと「じゃあ、ふたりで打ち上げだ」と宗介は微笑んだ。
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