可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 わたしはよそ行きの顔を作ってプレゼンをはじめた。

 途中で榊原宗介に目をやると……

 え?
 もしかして寝てる?

 彼は腕と脚を組み、椅子の背に体を預けて、目を閉じている。

 ちょっと腹が立ってきた。
 そりゃ、話が面白くないのはわかる。
 でも、こっちは忙しい時間を割いて、わざわざ、あなたのためにこんなことで時間を浪費しているんだけど。

 ちょっと怖い顔をつくって、睨んでみた。
 すると、私の視線に敏感に反応した榊原宗介は目を開け、微笑んだ。

 い、いや、あの笑顔には負ける。
 起きて、ちゃんと聞いていてくれれば、文句はないです、はい。

 わたしの話が終わりに差しかかったとき、向井さんの携帯が鳴りだした。
 画面に目を落としてから、彼女は「ちょっと失礼します」と、部屋の外に出ていった。
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