可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 けれど、彼は意外にも、バカにした様子もなく、きちんと答えてくれた。

「まあ、おかげさまで。寝る間もないほど忙しくさせてもらってますよ」

 いい声だなあ、と感心してしまう。
 高からず、低からず。
 ヴォリュームが大きいわけではないのに、よく通る。

「でも、そんなお忙しいのにわざわざ取材に来られるなんて驚きました」
「いや、いつもはしませんよ。今回は特別。初のゴールデンの主役なんでね」
「ああ、なるほど。気合、入りますね」

 わたしの言葉に、彼は口の端をちょっと上げて、微苦笑する。

「というのは建前で。白状すると、知らないうちに向井が勝手にセッティングしてて。本当はこの時間でちょっとでも、仮眠したいとこなんだけど」

 ああ、なるほど。
 じゃあやっぱり、さっきは必死で睡魔と戦ってたんだ。
 でも、負けなかっただけ、偉い。
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