可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 小学生のケンカでも見ているみたい。
 なんか可愛い、ふたりとも。
 おかげで、わたしの警戒心はすっかり解けた。

「あの、榊原さん。今日はお誘いいただきありがとうございます。でも、正直に言って大変当惑しているのですが」

 開口一番、まず正直に気持ちを告げた。
 こういうことは最初にはっきり言っておかないと。
 経験上、後になればなるほど、うやむやになってしまう。
 
「ん? だって言ったじゃない、この間。きみのこと、気に入ったって」

「でも、あなたはトップクラスの俳優さんでしょう。それなのに、わたしごときの一般人に興味を持つって、どう考えてもありえないと思うんですが」

 榊原宗介は、わたしの言葉が心底、理解できないという表情を浮かべた。

「たしかに俺は俳優だけど、別に妖怪ってわけじゃなくて普通の人間だし。気になる人ともう少し話したいと思ったって、別におかしくないだろう」

 気になる人……
 だから、わからないのはまさにそこなのだけど。
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