可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「でも、榊原さんの周りには、アイドルとか女優さんとか、素敵な方が大勢いるでしょう? なんでわざわざ、わたしなんかに。からかわれているとしか思えないです」

 彼はきわめて真面目な顔をして言った。

「なんかピンと来たんだ。橋本さんに会った瞬間に。第六感っていうのかな。宇宙からの指令的な……?」

 やっぱり、ふざけてる。
 こうやって、素人をもてあそんで、心のなかで笑っているに違いない。
 話を聞けば聞くほど、不審感が募る。

 よっぽど顔をしかめていたのだろう。
 亮介さんがぷっと吹き出した。

「『宇宙からの指令』って、何言ってんの。なんか、兄貴が口を開けば開くだけドツボにはまってる気がするけど」

 亮介さんはわたしを見て言った。

「たしかにちょっと変わったこと言い出しますけれど、本人に悪気はないんで」
「はあ……」

 うーん、でも、どうしてもこの状況、狐につままれているとしか思えない。

「俺が翻訳して、言い直してもいいんですけど、ま、それは余計なお世話になりそうなんで控えておきますね」
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