可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 そうこうしているうちに、ウェイターがメニューを配りはじめ、帰るタイミングを逸してしまった。

 まあ、ふたりきりじゃないから、恐れていたようなことはなさそうだし。

 それに、この兄弟からは、何かを企んでいる様子はまったく感じられない。
 
 若干変わってはいるけれど、ふたりとも態度はとても紳士的。
 クライアントを接待するときのほうが、よっぽど逃げ出したくなることが多い。

 うーん。
 よし。今日のところは食事を楽しませてもらおう。

 いや、なにしろ……

 こんな素敵な店で、極上の美男2人をはべらせて会食するなどという贅沢な機会、今日を逃せば、もう二度とないだろうし。

 と、店に来る前は不審感で頭がいっぱいだったのに、持ち前の楽観的な性格が前面に出てきてしまった。
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