可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 はじめはよく似た兄弟だと思っていたけれど、こうして時間を共に過ごしているうちに、性格の違いが見えてきた。

 社交的で話がうまいのは、断然、弟の亮介さんのほう。
 営業という職業柄、鍛えられたのかも知れないけど、もともとの資質もありそう。

 彼の話術に引きずられ、すっかり打ち解けたわたしは、ふたりのことを「宗介さん」「亮介さん」と名前で呼ぶようになっていた。

 で、宗介さんのほうは正反対で、口数が少なくぶっきらぼうな印象。
 およそ芸能人らしくない。

 宗介さんが亮介さんをこの席に招いた理由がわかった。
 彼とわたし、ふたりきりだったら、まったく盛り上がらずにものすごーく気まずい会食になっただろう。

「兄貴、しゃべるの下手でしょう? だからバラエティはNGなんですよ」と亮介さん。

「おまえみたいにペラペラと余計なことをしゃべらないだけだ」と宗介さんは仏頂面で口をへの字に曲げている。

「わたしも亮介さんのほうがテレビ向きだと思いますけど」
 ふふっと口元をゆるめて、わたしが亮介さんに同調すると、宗介さんは少し眉を寄せた。
< 43 / 185 >

この作品をシェア

pagetop