可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 天下のイケメン俳優が、弟にやり込められてご機嫌斜めになるなんて、なんだかおかしい。

 わたしはだんだん、榊原宗介に好感を持つようになってきた。

 超人的外見とは裏腹に、中身は、いい意味で普通だということがわかってきて。
 いや、普通の人以上に不器用かも。

 でも、そこがなんだか人間ぽくっていい。

 たしかに宗介さんが言っていたとおり、「人気イケメン芸能人」というフィルターをかけて特別視していたのは、わたしのほうだったかも知れない。


 さすがは飯倉スクエアの、しかも会員制クラブ内のレストラン。
 食事はどれも絶品で、今まで食べたイタリアンの中で一番美味しかった。

 ルッコラと桜エビのタリアテッレ、鰆の香草焼き、子羊のロースト、デザートには、頬っぺたが落ちそうなパンナコッタ苺ソース添えとしっかり苦いエスプレッソ。甘味と苦味の組み合わせが絶妙だった。 

 すっかり満腹になり、この奇妙で得難い一夜の晩餐はお開きとなった。
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