可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
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「兄貴のあんなに楽しそうな顔、久しぶりに見ましたよ」
エンジンをかけながら、亮介さんは言った。
「あの性格で芸能人なんてやってるもんだから、ストレスが溜まるらしくて、忙しくなってからは、いつ会っても不機嫌そうだったんですけどね」
「お忙しいんでしょうね。テレビや映画にひっぱりだこですもんね」
「それだけじゃなくて、雑誌の取材や写真集の撮影、CM、イベント。ほんと、いつ休んでるんだろうって弟の俺でも不思議ですよ。身体が3つ、4つあるんじゃないかって」
「宗介さんって本当に売れっ子芸能人なんですよね。なんだかお話ししているうちに、そんなこと、すっかり忘れていました」
わたしがそう言うと、亮介さんはちらっとわたしのほうに視線を向け、頷いた。
「兄貴がなんであなたに惹かれたのか、わかった気がする」
「えっ?」
「よくも悪くも、周りの人から特別視されるのが常だから。あなたが自然体で接してくれるのが嬉しかったんじゃないかな」
「でも、最初はわたしも彼を〝人気芸能人〟フィルターを通して見てましたけれど」