可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「でも、すぐ考えを変えたでしょう? 兄貴の、あの不器用な性格もすぐ理解してくれたし。あの人、どっちかっていうと、野性のカンに頼って生きているような人だから、本人が言っていたとおり、本当にピピっときたんだと思いますよ」

「そう……ですか」

「それに」と、亮介さんはにこっと笑いながら言った。
「兄貴と俺、性格的にはあんまり似てないんだけど、一目惚れ体質だけは一緒みたいです」

「ということは、亮介さんも?」
「うん。同じ会社の人で。でも俺の完全な片思い。彼氏がいるんですよ。その彼女」

「あら……」
「まあ、気長にがんばりますよ」

 そんな話をしているうちに、わたしの家の近くまで来ていた。

「あっ、家の前の道、狭いし行き止まりなので、ここで降ろしてください。今日はどうもありがとう」

「あの、よければLINE交換してもらえませんか。兄貴に強く言われてて。彼は聞きたくても聞けないんです。LINEの個人使用を事務所から止められてるから」
 俺をメッセンジャーに使う算段らしいです、と亮介さんは付け加えた。
 
 わたしは一瞬考えたけれど、結局「いいですよ」と言ってスマホを取りだしていた。

 彼らにだったら、また会いたい。
 すでにそんな気持ちになっていた。
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