可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「わたしが……ですか?」

「ああ、上杉リーダーに頼もうと思ったんだけど、彼、今、例の自動車メーカーの案件を抱えていてね。他に頼れるのはきみしかいないからな」

「広報で対処していただけないんですか?」

「ここだけの話だが……その、俳優、なんだっけ」

「榊原宗介です」と横から口をはさんだのは知花。
 目をキラッキラさせて、課長の話に耳を傾けている。

「そうそう。実は社長のお嬢さんが大ファンらしくてね、その」

「だから、榊原宗介ですって」
 課長は、なんで妹尾がこんなところにいるんだという顔をしたけれど、特に何も言わずに続けた。

「それで創業30周年の記念パーティーに出席してくれないかと秘書室のほうで打診したら、コンサルタントの役をやることになったので、仕事の様子を取材させてくれないかと相談を持ちかけられたそうでね」

 はー、社長のお嬢さんのことまで持ち出されたら、もう拒否はできそうにない。
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