可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
「最前線で働いている者の仕事ぶりに触れたいというのがご希望なんだ」

「わかりました。いつ来られるのですか?」

「明後日の午後らしい。社長直々の案件だ。くれぐれも粗相のないように頼むよ」

「いいなあ。ご指名がかかるなんて、さすがは郁美先輩。ちょっと、とうが立ってるとはいえ美人だし、仕事できるし。宗様に目をつけられるかも知れないですね」

「とうが立ってるって……。そんなこと、絶対ないから。ほら、これ以上無駄口叩いてると、本当に残業してもらうことになるよ。仕事、仕事」

「へーい」
 知花はようやく自席に戻っていった。

 たしかに今、わたしが担当しているのは急ぎの案件じゃないけど……でもだからといって、時間が有り余っているわけではない。

 でも、これも仕事のうち。
 淡々とこなすだけのこと。

 さて、のんびりしている暇はない。明後日の分までしっかり仕事をしておかないと。
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