エリートドクターは没落令嬢への溺愛を止められない
「へえ。大学生?」

「まあ。」

本当は二十歳なんだけど。そう言うと、お客さんは大抵困った顔をするから、2歳誤魔化している。

「どうしてこんな仕事しているの?」

私は眉毛をぴくっと上げた。

こんな仕事ね。

「……お小遣い稼ぎです。」

「女の子はお金がかかるからね。」

私はお客さんに合わせて、笑った。


私だって分かっている。

こんな仕事、二十歳でやっているなんて。

でも、普通の仕事じゃお母さんの治療費は払えない。


私のお母さんは、胃がんだ。

手術すれば治る可能性があると言われ、借金してまで手術して貰った。

そのおかげで、回復に向かっている。

私の家は、社長だった父が事業に失敗し、そのまま自殺。
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