婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました
「どう、して……?」
スピカは心根の優しい、自慢の友人だった。美人であることを鼻に掛けず、誰にでも分け隔てなく接する彼女は、王太子の婚約者であるが故に、同年代の女友達が中々できなかったわたしにとって、初めてできた友人だった。
そんな彼女を殿下へと引き合わせたのはわたしだ。けれど、スピカが殿下とどうこうなるなんて想像したことも無かった。ただ大事な友人として、紹介しただけだったのに――――。
「だってわたくし、殿下を愛していますもの」
スピカはそう言って目を細めた。心臓が変な音を立てて鳴り響くし、開いた口が塞がらなかった。瞳には涙が浮かび上がり、鈍器で殴られてるみたいに頭が痛くて堪らない。けれど、スピカはクスクス笑いながら、わたしを見上げた。
「ご存じなかったの? わたくしがポラリスと仲良くなったのは全て、殿下のためでしたのに。あなたに近づけば、殿下との接点ができる。そうすれば必ず、殿下はわたくしを愛してくださると、その自信がありましたの」
容赦なく突きつけられる現実に、立っていられるのが不思議なぐらいだった。
殿下はスピカの頭を撫でながら、いつも通りの表情でわたしのことを見つめている。何故わたしが動揺しているのか、涙を流しているのかも分からない様子だ。
スピカは心根の優しい、自慢の友人だった。美人であることを鼻に掛けず、誰にでも分け隔てなく接する彼女は、王太子の婚約者であるが故に、同年代の女友達が中々できなかったわたしにとって、初めてできた友人だった。
そんな彼女を殿下へと引き合わせたのはわたしだ。けれど、スピカが殿下とどうこうなるなんて想像したことも無かった。ただ大事な友人として、紹介しただけだったのに――――。
「だってわたくし、殿下を愛していますもの」
スピカはそう言って目を細めた。心臓が変な音を立てて鳴り響くし、開いた口が塞がらなかった。瞳には涙が浮かび上がり、鈍器で殴られてるみたいに頭が痛くて堪らない。けれど、スピカはクスクス笑いながら、わたしを見上げた。
「ご存じなかったの? わたくしがポラリスと仲良くなったのは全て、殿下のためでしたのに。あなたに近づけば、殿下との接点ができる。そうすれば必ず、殿下はわたくしを愛してくださると、その自信がありましたの」
容赦なく突きつけられる現実に、立っていられるのが不思議なぐらいだった。
殿下はスピカの頭を撫でながら、いつも通りの表情でわたしのことを見つめている。何故わたしが動揺しているのか、涙を流しているのかも分からない様子だ。