【短】犬丸、今日が最後だってよ。




────……ん?


いやでもそれすらも偏見だと思いましたので、犬丸は考えることをやめた。



「一条くんっ!」


「…ん?」


「一条くんの好きな食べ物っ、聞いてなかった!!」



好きなものの話をするの。

こういうときは好きなことをいっぱい考えればいーの。


さっき一条くんは私に「嫌いな食べ物」を聞いてきたよね。

その時点で一条くんの本当の部分はわりと見えてたんだ。

ほら、私は犬丸だから。
世界が認める犬丸だから。



「わりと好き嫌い多いよ俺。キノコ類むり」


「えっ、美味しいのに…!」


「あとは野菜もそんな食いたくねえ」


「子供かっ」


「苦いの嫌なんだよな、ピーマンとかさ」


「いや子供だっっ」



すごい、すごいよ犬丸。

一条くんに「なんでやねんっ!!」レベルのツッコミしてるよ…!!


それに一条くん……楽しそうに笑ってるよ…。



「好きなものを聞いてるの犬丸はっ!一条くん嫌いなものばっかりっ」


「…言っていーの?俺の好きなもの」



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