【短】犬丸、今日が最後だってよ。
ゲームにアニメ。
そんなキラキラ輝くキャラクターたちに祈りを捧げては悶えているようなオタクなのだ。
数少ない同士とも言える友達とオタ活を楽しんでいる、まあ言ってしまえば2次元に生きているような。
「ちょうどよかった。犬丸のオススメのアニメ教えて。あーいうのって多すぎて何から見ればいいか迷ってたんだ」
ごめん……、
さとちゃん、あすみん…、
2次元より格好いい推しキャラができちゃったかも……。
いやいやいや!!だめだめっ!!
私には愛する推しがいるんだからっ!!
「これっ、これ…っ!このひとが犬丸の好きな男の子なので…っ」
「……」
常に持ち歩いている小さなステッカーを取り出して、アニメキャラが描かれた表面を見せる。
制服にもジャージにも忍び込ませては毎日一緒。
スマホがあったなら、もちろん迷わず待ち受け画面を見せていた。
「…だったら、」
「っ…!!」
気づけば覗きこまれていた。
整った顔を象徴する、きれいな二重ライン。
明るい髪の隙間から見える、右耳にふたつ、左耳にひとつのピアス。
「3次元も捨てたもんじゃねーっての、これから俺が教えてやるから。…な?いぬまる」
「……鼻血…でる、…あ、でた、」
「はははっ!かわいすぎじゃね。ちょっと待ってろティッシュな、」
選ばれたのは、犬丸でした。