【短】犬丸、今日が最後だってよ。
やっぱり最後は幸せな思い出を見て空へ昇っていくのかなって。
けどね、一条くんとはまったく思い出がないんだ犬丸は。
それなのに見る走馬灯って……なんだい。
「ごっ、ごごごごごめんなさい…!!!」
「…なに、」
唐突な土下座を披露すると、さすがに動揺しながらマットから腰をあげた一条くん。
罪悪感がすごいの犬丸は。
だって、だって私、今まで……、
「ぶっちゃけ一条くんのことは“犬丸が怯える存在ランキング”、不動の1位にさせてもらってました…っ!!」
「……へえ?」
遠のいたすき焼き、消えた走馬灯。
どこかゲス顔を見せてくる一条くんは、間違いなくぜったい確実に危険な集団に身を置いてそうなオーラに包まれていた。
「それまでの犬丸はっ、……たぶん、バカのアホのおたんこなすだったんだと……思います、」