【短】犬丸、今日が最後だってよ。




「あのう……、怒って、ない、の…?」



この犬丸、けっこう失礼なこと言っちゃってたよ……。

偏見だらけだったし、むしろ偏見しかなくて、それはもう偏見でした。


選ばれたのは、偏見でした。



「今日で俺のイメージ変わったんなら、別にいい」



目元を拭いながら微笑んだ一条くん。


泣いてるの……?
泣かせてもうたの……?

どうやら犬丸は一条くんを泣かせた女になってしまったようで。



「すげえ涙とまんね、……笑いすぎて泣くことって本当にあるんだな、」


「うん、あるよ…!私もよくお笑い特番とかのドッキリが好きでね、たまに泣くほど笑ってる…よ、」



寂しそうな顔、発見。



「幸せじゃん、それ」



シリアス、到来。


犬丸よ、おまえはもう当分しゃべるな。


一条くんはボーソーゾクとも関わってるような人なのだから。

きっと悲しいことつらいこと苦しいこと、いっぱいあるに決まってる。



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