バレンタイン
「ハっルヒちゃ~ん! 奇跡よ!! いちばんメルヘンなお部屋とれちゃった♪ 天蓋ベッドに、大理石のお風呂よ♪」
……もう 勘弁してクダサイ……。
「のりこぉ…ゴメンナサイ、私が悪かったわ。彼なんていないのよ。だから、今すぐ予約取り消して~…」
「そんなの判ってたわよ? オトコなんてバレンタインまでに見付ければいいじゃない」
「は?」
「こんな素敵なお部屋に泊まれるなんて、きっと花姫ちゃんには一生に一度きりよ。頑張って一緒に泊まる彼を捜しなさい?」
「そんな無茶苦茶な」
「どうにもならないときは、彼の友達を紹介したげる」
「任せてください! 外科医かな? いや、ハルヒさんなら精神科?」
...なんで私なら精神科なの?
「だから大丈夫! どぉんと自信持って予約しとこう!」
どんな自信を持てってのよ…。
「じゃあね~。良いクリスマス…じゃなかった、素敵なバレンタインをね~。メルヘン! ぷぷっ」
そう言って、まるで台風のようだった倫子と彼は店を後にした。