あなたのいない暗闇を、光輝く世界に変えて
残された者たち
翌日、目が覚めると既にお昼近くになっていて、心ここにあらずな状態でぼうっとする。
隣を見ると、裸で眠る…哲平がいた。
あれは夢だったのか…現実だったのか…
でも…トモだった…絶対…
そっとベッドを抜け出て身支度を整え終えると私のスマホが鳴った。
その瞬間、胸騒ぎがして鼓動が早くなった。
スマホを見ると発信は美知さんだ…
あぁ…そうか、きっとトモが…
ふー…と息を吐き、聞く覚悟をして通話ボタンをタップした。
「はい…八嶋です…」
「あっ、凛花ちゃん?アタシ、美知だけど、見つかったよ!知典!」
「…どこでですか?」
「それが……車があったとこから少し離れた海岸に…うっ…う……」
「あぁ…やっぱり…亡くなってたんですね…」
「……え…やっぱりって…?」
「トモが…会いにきてくれました…昨夜…」
「えっ…」
「信じてもらえないかもしれないけど…トモが…会いに来てくれて…俺は死んだみたいだって教えてくれて…そして…最後のメッセージを遺してくれました……」
思い出して、また涙が溢れ出す。
「そうなんだ……うん…私は信じるよ。知典ならやりそうだもん」
「ありがとうございます…」
「あっ、あとね、凛花ちゃんに渡したいものがあるの」
「私に…?」
「うん、凛花ちゃんに。本当は早く渡したいんだけど、お葬式の時になりそうかな…まだ警察にお世話になったりしてて、その後も葬儀の準備でバタバタしそうだから…。お葬式の日が決まったらすぐに連絡するからね」
「ありがとうございます…私…何もお手伝いできなくてすみません…」
「何言ってんの、凛花ちゃんがそれを気にすることなんてないんだからね!それに、凛花ちゃんのその心遣いと気持ちはわかってるつもりだから」
「美知さん…ありがとうございます…」
美知さんだって辛いだろうに、こんなにも私の心配をしてくれる…
その温かさにまた涙が止まらなくなった。
「…ショックで現実を受け入れられないと思うけど倒れないようにしてね…哲平にも凛花ちゃんの様子を見るように言っておくから…」
「はい…美知さんもお忙しいでしょうから体に気をつけてくださいね」
「ありがとう凛花ちゃん。それじゃあまたね」
「はい。ありがとうございました」