【短編】最強総長は隠れ狼姫を惑わしたい。
1.高校デビュー……のはず!
「え⁉ 女子はあたし一人⁉」
比較的早い時間の職員室にあたし、日下部莉奈こと通称リィナの声が響いた。
「すまんな。いろいろ事情があって……」
対面するのは今日からあたしの担任となる加藤という男の先生だ。
年は三十代後半くらいだと思う。
「その事情って何ですか? ここが元男子校だっていうのは分かってますけど、今年から共学なんですよね? なのに女子があたし一人っておかしくないですか⁉」
「ちょっと落ち着いてくれ。ちゃんと話すから」
そう言った加藤先生は、テーブルに置いてある熱そうな緑茶に息を吹きかけてからズズッと一口飲んだ。
落ち着けと言っておきながら落ち着きたかったのは自分だったらしい。
「まず、君が今言った通りここは元男子校だ。……そして、不良校と言われている学校でもある」
「……え?」
不良校?
ちょっと待って、それは知らないんだけど⁉
内心驚いているあたしを他所に加藤先生は話を続けていく。
「理事会の方で『男ばかりだから尚更治安が悪いんだ』と主張する人たちがいて共学になったはいいが、それですぐによくなるわけがないだろう?」
同意を求められたので頷いて返す。
女子が入ったからといって本当に良くなるかは置いておくとしても、すぐによくなるわけがないのは誰だって分かる。
比較的早い時間の職員室にあたし、日下部莉奈こと通称リィナの声が響いた。
「すまんな。いろいろ事情があって……」
対面するのは今日からあたしの担任となる加藤という男の先生だ。
年は三十代後半くらいだと思う。
「その事情って何ですか? ここが元男子校だっていうのは分かってますけど、今年から共学なんですよね? なのに女子があたし一人っておかしくないですか⁉」
「ちょっと落ち着いてくれ。ちゃんと話すから」
そう言った加藤先生は、テーブルに置いてある熱そうな緑茶に息を吹きかけてからズズッと一口飲んだ。
落ち着けと言っておきながら落ち着きたかったのは自分だったらしい。
「まず、君が今言った通りここは元男子校だ。……そして、不良校と言われている学校でもある」
「……え?」
不良校?
ちょっと待って、それは知らないんだけど⁉
内心驚いているあたしを他所に加藤先生は話を続けていく。
「理事会の方で『男ばかりだから尚更治安が悪いんだ』と主張する人たちがいて共学になったはいいが、それですぐによくなるわけがないだろう?」
同意を求められたので頷いて返す。
女子が入ったからといって本当に良くなるかは置いておくとしても、すぐによくなるわけがないのは誰だって分かる。
< 1 / 56 >