【短編】最強総長は隠れ狼姫を惑わしたい。
***
そしてデート――ううん、街の案内をしてもらう日になった。
柄にもなく鏡の前で何度も服装チェックをしているとインターホンが鳴る。
慌てて開けたドアの先にいたのは、全身からイケメンオーラを放っている迅だ。
黒のジャケットと黒のスラックス、そして白いシャツ。
色合いはいつもの学ランと同じはずなのに、素材が違うだけで一気にカジュアルさが際立つ。
つい見惚れていると、迅もあたしのことをジッと見ていることに気付いた。
「迅?」
どうしたの? と小首を傾げると、ハッとして一度視線を逸らされる。
「いや……。準備は出来たか?」
「あ、うん」
「じゃあ行くぞ」
少し素っ気ない感じで言われたけれど、寮を出る頃には普段の様子に戻っていた。
歩調を合わせてゆっくりと、さりげなく車道側を歩いてくれる。
……そんないつもの迅だった。
「……迅ってさ、女の子の扱い上手いよね?」
「なんだ突然?」
「突然じゃないよ。結構初めから思ってた」
いつもより歩く距離も長いから、世間話のように疑問に思っていたことを聞いてみる。
教えてくれないなら別にそれでも良かったんだけれど、迅は躊躇いもなく答えてくれた。
そしてデート――ううん、街の案内をしてもらう日になった。
柄にもなく鏡の前で何度も服装チェックをしているとインターホンが鳴る。
慌てて開けたドアの先にいたのは、全身からイケメンオーラを放っている迅だ。
黒のジャケットと黒のスラックス、そして白いシャツ。
色合いはいつもの学ランと同じはずなのに、素材が違うだけで一気にカジュアルさが際立つ。
つい見惚れていると、迅もあたしのことをジッと見ていることに気付いた。
「迅?」
どうしたの? と小首を傾げると、ハッとして一度視線を逸らされる。
「いや……。準備は出来たか?」
「あ、うん」
「じゃあ行くぞ」
少し素っ気ない感じで言われたけれど、寮を出る頃には普段の様子に戻っていた。
歩調を合わせてゆっくりと、さりげなく車道側を歩いてくれる。
……そんないつもの迅だった。
「……迅ってさ、女の子の扱い上手いよね?」
「なんだ突然?」
「突然じゃないよ。結構初めから思ってた」
いつもより歩く距離も長いから、世間話のように疑問に思っていたことを聞いてみる。
教えてくれないなら別にそれでも良かったんだけれど、迅は躊躇いもなく答えてくれた。