乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

【コバルトに消えたブルー】

時は、1月11日の午前11時頃であった。

ところ変わって、高松自動車道白鳥大内《しらとりおおち》インターにつながる県道沿いにあるラブホの工事現場にて…

この日は、ここでボイラー機器の取り付け工事を行っていた。

私は、いつも通りに三浦工業《みうらのほんしゃ》のスタッフさんたちと一緒にボイラー機器の取り付け工事に取り組んでいた。

大番頭《おおばんと》はんたちとゆかさんと麻美さんは、現場近くにある現場事務所でお仕事に取り組んでいた。

この時、ウェンビンさんがひどくソワソワとしていた。

この2〜3日の間、ミンジュンさんが不在の状態が続いていた。

それが原因で、ウェンビンさんは仕事に集中できなくなったようだ。

ウェンビンさんは、ミンジュンさんは心の支えであると私に言うていた…

ウェンビンさんは、ミンジュンさんがいないと生きていくことができない…

この2〜3日の間、ウェンビンさんはヒューマンエラーばかりをやらかしていた。

ゆかさんからどやされてばかりいたので、気持ちがイシュクしていたと思う。

この時、白衣姿のゆかさんがひどくソワソワしているウェンビンさんに声をかけた。

「ウェンビンくん!!」
「ゆかさん…」
「少しは落ちついたらどうなのよ!?」
「すんまへんでした。」
「ウェンビンくん!!ここ2〜3日の間、ヒューマンエラーばかりをやらかしているみたいね!!」
「すんまへんでした。」

ゆかさんにどやされたウェンビンさんは、イシュクした表情を浮かべていた。

ゆかさんは、ひどくいらついた声で言うた。

「もう、ミンジュンちゃんもなんしよんかしら…甘ったれるのもええかげんにしてほしいわ…ったくもう!!」

ゆかさんは、大きくため息をついたあとウェンビンさんに言うた。

「ウェンビンくん!!」
「ゆかさん…」

ゆかさんは、ウェンビンさんに『おいでおいで…』と手招きした。

ウェンビンさんは、やる気のない声でゆかさんに言うた。

「なんでしょうか?」
「ウェンビンくん、ちょっとお使いに行ってくれる?」
「おつかい?」
「せや…ちょっと、ここへ行ってくれる?」

ゆかさんは、ウェンビンさんに1枚のメモ用紙を手渡した。

メモ用紙にゆかさんが指定した行き先が記載されていた。

「イオンモール今治新都市…」
「ミンジュンちゃん、イオンモールの中にあるサイコー(産直市場)でバイトしているみたいよ…そこへ行って、ミンジュンちゃんを説得してくれるかしら…」
「ミンジュンさんを説得してください?」
「せや!!」
「しかし…」
「ウェンビンくんはミンジュンちゃんが好きなんでしょ…好きだったら、ウェンビンくん自身がミンジュンちゃんを説得するのよ!!」

ゆかさんからどやされたウェンビンさんは、ひどくコンワクした。

近くにいた宮出さんは、ウェンビンさんに声をかけた。

「ウェンビンくん、男だったらミンジュンちゃんをしっかりとつなぎとめておけ!!ミンジュンちゃんが好きなら好きと男らしく伝えるのじゃ!!」

事務長はんも、ウェンビンさんに言うた。

「はよ行くのじゃ!!グズグズするな!!」

ゆかさんは、きびしい声でウェンビンさんに言うた。

「ミンジュンちゃんは、人生の大きな岐路に立っているのよ!!イワマツの仕事を続けるか…それとも女の幸せを選ぶか…ミンジュンちゃんを支えることができるのは、ウェンビンくんしかいないのよ!!ウェンビンくんが強い気持ちを持たないと、ミンジュンちゃんはウェンビンくんから離れていくのよ!!」

ゆかさんのゴベンタツを受けたウェンビンさんは、旅に出ると決意した。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

ウェンビンさんは、JR三本松駅から特急うずしおと特急いしづちを乗り継いで旅に出た。

今治駅で列車を降りたウェンビンさんは、直通バスに乗り換えてイオンモールへ向かった。

時は、夜7時頃であった。

ところ変わって、イオンモール今治新都市の敷地内にあるサイコー(産直市場)にて…

ミンジュンさんは、店内でとれたての野菜を陳列だなに並べていた。

そこへ、ウェンビンさんがやって来た。

「ミンジュンさん。」
「ウェンビン…」
「ここにいたんだ。」
「そうよ。」
「話があるけど、かまん?」

このあと、ウェンビンさんはミンジュンさんを連れて外へ出た。

時は、夜9時半頃であった。

またところ変わって、小泉にある市政50周年記念公園の中にある浄水場にて…

ミンジュンさんとウェンビンさんは、浄水場のテラスで話し合いをしていた。

ウェンビンさんは、ミンジュンさんに今後どうしたいのかときいてみた。

「ミンジュンさん。」
「なによぅ〜」
「ミンジュンさんは、今後…どないするつもりですか?」
「今後どうしたいのかって?」
「イワマツのお仕事を続けるか…それとも、女の幸せを選ぶか…」

ミンジュンさんは、冷めた声でウェンビンさんに答えた。

「どちらも選ばない…」
「なんで?」
「イワマツに…ミンジュンの居場所はない…女のしあわせもほしくない…」
「だから、サイコーでバイトをしていたのですか?」

この時、ミンジュンさんの両目からなみだがたくさん出ていた。

ミンジュンさんは、ウェンビンさんに対して泣き声で言うた。

「ウェンビンは何よ!!周りの意見に流されてあななボロ女とお見合い結婚した…ウェンビンはそれでしあわせになれたと思っているのね!!」
「ミンジュンさん、それはちゃいまんねん…」
「ミンジュン!!おんまく悔しい!!」
「おんまく悔しい?」
「ウェンビンはボロ女とお見合い結婚した…ヨシタカさんは…アンナさんとお見合いして結婚した…」
「ミンジュンさん…」
「せやけん、ミンジュン悔しい!!」

困ったなぁ…

どないせえ言うねん…

ウェンビンさんは、ものすごく困った表情でつぶやいた。

そんな時であった。

公園内に女性の叫び声が響いた。

叫び声を聞いたウェンビンさんとミンジュンさんはおどろいた。

「やだ…どうしよう…」
「もしかしたら…」

ところ変わって、公園内にある大きな広場にて…

大きな広場で、恐ろしい事件が発生した。

「イヤ!!やめて!!よーくん助けて!!」

この時、ゆりこが広場にいたホームレスの男たち数人に捕まったあとむりやり倒された。

「イヤアアアア!!」

(ビリビリビリビリビリビリ!!)

ゆりこは、着ていた衣服をホームレスの男たちにズタズタに破られた。

破れた衣服の中から、黒のユニクロワイヤレスブラ(3Dホールド)とエアリズムのヒップハンガーショーツがあらわになった。

ホームレスの男の一人がブラジャーをちぎろうとした時であった。

「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!よくもオレの女を犯したな!!」

この時、派手なシャツを着ているチンピラが刃渡りのするどいナイフをふりまわしながらホームレスの男たちに斬《き》りかかった。

チンピラは、ホームレスの男のひとりの背中を切り裂いて殺した。

その後、チンピラはホームレスの男たちに対してよりし烈な暴行を加えた。

チンピラの男は。ゆりこがテレクラで知り合った男だった。

下着姿のゆりこは、起き上がったあとすぐに走り出した。

チンピラの男は、ホームレスの男たちを殺したあと下着姿のゆりこを追いかけた。

「待ってくれぇ〜」
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

下着姿のゆりこは、泣き叫びながら公園内を走り回った。

その頃、ウェンビンさんとミンジュンさんは危険をさけるために浄水場の建物の影に隠れていた。

その時であった。

下着姿のゆりこが泣き叫びながらテラスにやって来た、

下着姿のゆりこは、テラスから下につながる階段へ逃げた。

続いて、チンピラの男が女々しい声で言いながらやって来た。

「ゆりこ…待ってくれ〜…ゆりこ…ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

チンピラの男は、その先にある急な階段から勢いよく転げ堕《お》ちた。

その後、ウェンビンさんとミンジュンさんが出てきた。

この時、下着姿のゆりこがその場に座り込んでくすんくすんと泣いていたのを見た。

ウェンビンさんは、おどろいた声で言うた。

「ミンジュンさん!!」
「どないしたん?」
「この子知ってる…」
「えっ?」
「ヨシタカさんが子どもの時に同じ施設で暮らしていたゆりこちゃんだ!!」
「ウソでしょ~」
「ウソじゃあらへん!!ミンジュンさん!!大急ぎで救急車を呼びましょう!!」
「なんでよ!?」
「ゆりこさんは、集団レイプの被害を受けたんだよ!!性病に感染する恐れがあるんだよ!!」
「そんな〜」

この時であった。

階段の下の方で、女性の叫び声が響いた。

ゆりこを追いかけていたチンピラの男が全身を激しく打ち付けた末に死亡した…

叫び声をあげた女性は、近くの住民であった。

ウェンビンさんとミンジュンさんは、下着姿のゆりこを連れてテラスから退避した。

それから30分後に、事件現場に愛媛県警の車両30台が現場に到着した。

その間に、ウェンビンさんとミンジュンさんは下着姿のゆりこを連れて救急病院に連れて行った。

ゆりこは…

なんで市民の森にひとりで来たのか?

ますます分からなくなったようだ…
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