乳房星(たらちねぼし)〜再出発版
第18話・もう一度逢いたい

【たった一つの願い】

(ゴーッ!!)

午前8時半頃、A班のメンバーたちが乗っている専用機が福岡空港に着陸した。

専用機は、他の航空機との時間調整をするために夜7時頃まで停泊する予定である。

A班のメンバーたちは、専用機から降りたあと空港内にあるVIP専用ロビーへ移動した。

A班のメンバーたちがロビーに入ってから10分後であった。

五十崎《いかざき》(愛媛県内子町)で暮らしている事務長はんの長男夫婦から電話が入った。

周囲の反対を押し切って国際結婚をした次男夫婦の次男くん(24歳)が突然離婚した…

知らせを受けた事務長はんは、問題を解決するために再び休職することになった。

この時間、事務長はんの次男夫婦さんは次男夫婦の嫂《よめ》はん(長男(30歳)の妻)と一緒に宇和島運輸フェリーに乗って別府へ向かっていた。

フェリーから降りたあとは、JR別府駅から博多行きの特急ソニックに乗ってこちらへ向かう予定である。

時は、午前9時半頃であった。

ところ変わって、VIP専用のロビーにて…

私とたつろうさんと事務長はんは、3人でお話をしていた。

事務長はんは、怒った声で次男夫婦の次男くんはけしからんと言うた。

私は、心配げな声で事務長はんに言うた。

「国際結婚した事務長はんのお孫さんが急に離婚したって?」
「(怒った声で)ああ!!」
「(困った声で)なんでまた…」
「(怒った声で)あのドアホは、猛反対を強引に押し切ってキルギス出身の女性と結婚した!!…あのドアホは、わしらに対して『カノジョとの結婚を許してくれないのであれば死んでやる!!』と言うてわめき散らした!!…わしらはしかたなく折れて(次男夫婦のダメ次男くん)と(キルギス出身の女性)さんの国際結婚を許した…」

たつろうさんは、困った声で事務長はんに言うた。

「それでは、なんで事務長はんのお孫さんは急に離婚したのでしょうか?」

事務長はんは、怒った声でたつろうさんに言うた。

「そんなん決まっとるワ!!(ダメ孫くん)の一方的な甘えだ!!」

なんとも言えん…

事務長はんは、怒った声で私とたつろうさんに言うた。

「(ダメ孫くん)は、その直後にバイク事故で亡くなった…(離婚した女性)さんは…胎内に…赤ちゃんがいるんだよ…(妊娠)5ヶ月…だと思う。」

たつろうさんは、困った声で言うた。

「それで、(ダメ孫くん)と離婚した女性の方は?」
「近くキルギスへ帰国する予定だよ…その前に、(女性)さんのご家族のみなさまに対しておわびをするなど…問題をすべて解決するためにやるべきことがたくさんあるんだよ。」
「そう…ですか…それで、再合流する予定は?」
「分からない…」
「分からない?」
「ああ。」

たつろうさんは、残念な声で『そうですか…』と言うた。

事務長はんは、ものすごくつらい表情を浮かべながら『つらい…非常につらい…』とつぶやいた。

午後1時頃であった。

事務長はんの次男夫婦と嫂《よめ》はんの3人が福岡空港に到着した。

事務長はんは、このあと次男夫婦と嫂《よめ》はんと一緒に宮崎行きの日本エアコミューター機に乗って旅に出る予定である。

(ゴーッ)

午後2時頃であった。

事務長はんと次男夫婦と嫂《よめ》はんが乗った日本エアコミューター機が福岡空港から飛び立った。

A班のメンバーたちは、ひとことも言わずに事務長はんを見送った。

なお、事務長はんがしていたお仕事は事前にたつろうさんとリチャードさんとケントさんにすべて引き継がれていたので問題はなかった。

事務長はんは、9月2日を持ってリタイアすることになった。

男やもめ3人(大番頭《おおばんと》はんと宮出さんと事務長はん)がリタイアした。

ウェンビンさんとミンジュンさんのふたりは、どこでなんしよんかいのぉ〜

ふたりとも、ええかげんにもんてこいよ(帰ってこいよ)…(ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…)
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