乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

【サチコ】

時は、夜10時半頃であった。

またところ変わって、博多中洲川端の那珂川《なかがわ》沿いにある公園で営業している屋台の居酒屋にて…

長崎から戻った私は、おでんを肴《さかな》にかぼすのお湯割り(ショーチュー)をのんでいた。

通りのスピーカーから、ニック・ニューサーの歌で『サチコ』が流れていた。

この時、外のさじき席に若いカップル一組が座っていた。

ラブラブモードの若いカップルさんは、うきうきした表情で挙式披露宴のことを話していた。

屋台の中にいる私は、ものすごく悲しい表情を浮かべていた。

のみかけのお湯割りを一気にのみほした私は、店のおっちゃんにおかわりを求めた。

「おっちゃん!!もう一本くれ!!」

おっちゃんは、しぶしぶした表情で『分かった〜』と言いながらかぼすのお湯割りを作ったあと私に渡した。

「お湯割りできたぞ。」
「おおきに…」

のんだくれの私は、通りのスピーカーから流れている歌を聴きながら涙をこぼした。

おっちゃんは、のんだくれの私にあつかましい声で言うた。

「コラ!!」
「なんやねん…」
「なん泣きよんぞ!?」
「そないに言わんでもええやん…」
「大の男がビービービービー泣くな!!」

私は、お湯割りを一気にのみほしたあとおっちゃんに怒った声で言うた。

「おっちゃん!!お湯割りくれ!!」

おっちゃんは、困った声で私に言うた。

「なんでそないに怒るねん~」
「ビービービービー泣きたくなる時もあるわ!!…くれ!!お湯割りくれ!!」
「分かったけん、そないおらぶな…ったく…」

おっちゃんは、つらい表情でかぼすのお湯割りを作ったあと私に渡した。

「ほれ!!」
「おおきに…」

私は、お湯割りをひとくちのんだあと大きくため息をついた。

通りのスピーカーから流れている歌は、江利チエミさんの歌で『酒場にて』に変わった。

おっちゃんは、のんだくれの私にあつかましい声で言うた。

「コラ!!…コラといよんのが聞こえんのか!!」
「なんぞぉ〜」
「コラは、外のさじき席にいるカップルさんを見てなーんも思わんのか!?」
「(ひねた声で言う)それがどないした言うねん…」
「外のさじき席に座っているカップルさんは、うきうきした表情で挙式披露宴のことを楽しく話しているんだぞ!!」
「(ひねた声で言う)オレは嫁はんなんぞいらんワボケ!!」

のんだくれの私は、のみかけのお湯割りを一気にのみほしたあと怒った声でおっちゃんにおかわりを求めた。

「くれ!!」

おっちゃんは、めんどくさい声でのんだくれの私に言うた。

「なんでそないにおらぶねん…」
「くれ!!」
「分かった…もう…」

おっちゃんは、ブツブツ言いながらお湯割りを作ったあと私に渡した。

「ほれ!!」
「おおきに…」

私は、お湯割りをひとくちのんだあとまた大きくため息をついた。

おっちゃんは、めんどくさい声で私に言うた。

「オドレは、嫁いらんのか!?」
「なんのために嫁はんもらうのか…分からん…」
「なんのためにって、オドレが幸せになるために嫁はんもらうんや…」
「オレには…いないんだよ…オレを思ってくださる女はいないんだよ…」
「なんで決めつけるんぞ!?」
「決めつけてないわ…オレは生まれた時から縁《えにし》なんかないわ!!」
「そんなことあらへん!!」
「そないに言えるコンキョはなんやねん!?」
「人は生まれた時から縁《えにし》はあるんや!!」
「そなな話、誰が信じるか!?」

私は、のみかけのお湯割りを半分のんだあとおっちゃんに言うた。

「オレは…こまい時にママに捨てられた…ママが男作って逃げた…せやけんオレは…幸せになれん…もういいだろ…」
「よいよい、オドレはひねてるのぉ〜」
「ほっとけ!!」

のんだくれの私は、残り半分のお湯割りを一気にのみほした。

日付けが変わって、7月27日の深夜0時半頃であった。

屋台の居酒屋で酒をのんでいた私は、ヨレヨレの状態で国道202号線(国体道路)の春吉橋を渡って天神方面へ向かった。

車道には、多くの自動車《しゃりょう》が往来していた。

ヨレヨレの私は、震える声で泣きながらニック・ニューサーの歌で『サチコ』を歌っていた。

この時、私はグデングデンに酔っていたので春吉橋を渡ったあとどこまで行ったのか…と言うことを全くおぼえていなかった。

………………

また時は流れて…

2023年8月20日の深夜11時頃であった。

ところ変わって、プリンスエドワード島・フレンチリバーの本籍地の家の敷地内にある特大豪邸のハーレムルームにて…

とばりの中に桜子たち(30億人の極爆乳デリヘル嬢たちと1000人の極爆乳ガールフレンドたちと31人の極爆乳ラマンたち)と身重のアンナと深眠《しんみん》の私とB班のメンバーたちとオルドビス作りのスタッフさんたちがいた。

桜子たちは、深眠《しんみん》の私の身体にキスをしていた。

マァマは、泣きながら桜子たちに呼びかけた。

「よーくんにいっぱいキスしてあげてね…」

それから20分後であった。

ジャンスさんとカナンさんとペリンさんとゆいさんは、深眠《しんみん》の私の身体を半分起こした。

フランソワさんとベレンガリアさんとテオドーラさんとゴーダマさんは、身重のアンナを深眠《しんみん》の私のそばにゆっくりと寄せた。

マァマは、身重のアンナに泣きながら呼びかけた。

「アンナちゃん、よーくんのくちびるにキスしてあげてね。」

身重のアンナは、ぐすんぐすん泣きながら深眠《しんみん》の私に声をかけた。

「ヨシタカ…ヨシタカ…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ヨシユキの出産の時にそばにいてくれてありがとう…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…アンナ…がんばって女の子の赤ちゃんを産む…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ヨシタカ…ヨシタカ…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」

身重のアンナは、ぐすんぐすん泣きながら私のくちびるにキスをした。

深眠《しんみん》の私の閉じた両目から涙がたくさんあふれていた。

身重のアンナは私のくちびるに目覚めのキスをかわしたが、私はまだ目覚めていなかった。

マァマは、泣きながら私に呼びかけた。

よーくん…

もうすぐふたり目の赤ちゃんが生まれるよ…

もうすぐ…

アンナちゃんのお産が始まるよ…

お願いよーくん…

よーくん…

よーくん…

…………
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