乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

【越冬つばめ】

次の日の深夜4時半頃であった。

(ズドーン!!ズドーン!!)

私は、大きな銃声で目が覚めた。

公園から200メートル先にある住宅地で銃撃事件が発生した。

ヤクザの男たちが『死ねや!!』『テンチュウ!!』と叫んでいる声と銃撃音が同時に響いた。

それを聞いた私は、ショルダーバッグを持って公園から逃げ出した。

大変だ…

大急ぎで逃げないと…

命《どたま》かち割られてしまう…

「ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア…」

時は、深夜4時50分頃であった。

ところ変わって、JR二日市駅にて…

ショルダーバッグを持って公園から逃げて来た私は、どこか遠い場所へ行きたい気持ちでいっぱいであった。

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ…)

この時、熊本行きの各駅停車の電車がホームに入った。

ショルダーバッグを持っている私は、大急ぎで電車に飛び乗った。

電車は、それから2分後に二日市駅を出発した。

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

電車に乗っている私は、ひどくおびえていた。

ヤクザの男たちは、なんで公園の近くの住宅地にいたのか…

やつらの目的はなんやねん…

それよりも、うんと遠くへ逃げないと…

私はまだ死にたくない…

私はまだ死にたくない…

私が乗っている電車は、出発してから20分後に鳥栖駅(佐賀県)に到着した。

それから30秒後に電車が出発した。

電車は、再び福岡県に入った。

久留米・瀬高・大牟田…

その付近を通過中も、私はおびえていた。

電車が荒尾駅に到着した。

私は、ショルダーバッグを持って降りたあと改札を通って駅の外へ出た。

荒尾は、初めてきた市《まち》であった。

ショルダーバッグを持っている私は、フラついた足取りで海岸部へ向かって歩いた。

そして私は、岸壁にやって来た。

岸壁にいる私は、ぼんやりとした表情で払暁《よあけ》の空と有明海《うみ》を見つめながらつぶやいた。

オレはこななところでなにやってんだ…

このあとも、こななだらけた暮らしをつづけるのか…

………
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