乳房星（たらちねぼし）〜再出発版
【海になれなれ夢の中】
さて、その頃であった。
またところ変わって、今治市枝掘町《しないえだぼりちょう》にある大きめサイズの木造２階建ての家にて…
家は、健太の実家であった。
家の居間に、健太と敏江と周布作《しゅうさく》と美月と周布作《しゅうさく》のオイゴの代木豪郎《しろきたけろう》（23歳・放送大学（通信制大学）の学生）の５人がいた。
居間のテーブルの上には、美月が作った朝ごはんがならんでいた。
周布作《しゅうさく》は、ごはんを食べずに新聞を広げて読んでいた。
美月は、物憂げな表情を浮かべながら朝ごはんを食べていた。
健太は、ナマイキな表情を浮かべていた。
（バーン!!）
ブチ切れた敏江は、平手打ちでテーブルをバーンと叩いたあと健太を怒鳴りつけた。
「健太!!」
「なんやねんもう〜」
「あんたね!!プンとはぶてて（ひねくれている）いる場合じゃないわよ!!」
「はぐいたらしいんだよボケ!!」
敏江は、よりし烈な怒りを込めて健太を怒鳴りつけた。
「健太!!先週の金曜日の朝、会社の前で近くにある事業所《よそのかいしゃ》の男性従業員《じゅうぎょういん》さん数人をどついたわね!!」
健太は、怒った声で敏江に言うた。
「むしゃくしゃしていたから、事業所《よそ》の男性従業員《クソアホンダラれんちゅう》をどついたんや!!」
敏江は、よりし烈な怒鳴り声を健太にぶつけた。
「なんで事業所《よそ》の男性従業員《じゅうぎょういん》さんたちにあななひどいことをしたのよ!?」
健太は、怒った声で敏江にハンロンした。
「男性従業員《よそもん》が全部悪いからどついたんや!!朝のセーソーコンカツだとウソついて、三浦工業《うち》の女性従業員《オーエル》さんたちにえげつないことしよったんや!!」
健太がクソナマイキな表情で言うたので、ブチ切れた敏江はしょうゆが入っているびんをぶつけた。
（ゴツーン!!）
ぶつけられた健太は『なんや!!やるんか!!』と言うて敏江を怒鳴りつけた。
そこから、健太と敏江はバリゾーゴンを繰り広げた。
「あんたはなにをかんがえてあななことしたのよ!?」
「男性従業員《よそもん》がオレに対して『あわれよのぉ〜』と言うて嗤《あざわら》ったからやっつけただけや!!オレは被害者なんだよ!!」
「ドアホ!!」
（バシャ!!）
ブチ切れた敏江は、みそ汁が入っている両手鍋を健太にぶつけた。
両手鍋は、健太の頭にかすったあと後ろの壁にぶつかった。
緑色のジュラク壁がみそ汁でベトベトに濡れた。
（パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!…）
ブチ切れた敏江は、よりし烈な怒りを込めて平手打ちで健太の顔を100回以上たたいた。
健太の顔を平手打ちで思い切りたたいた敏江は、真っ赤な目で健太をにらみつけた。
健太の両方のほほが赤紫色にそまったと同時にブクブクと腫《は》れた。
敏江は、ワナワナと震わせながら怒った声で健太に言うた。
「あんたのせいで、きのう香我美《かがみ》さんが首を吊って亡くなられたのよ!!…あんたのせいで任されていたお仕事を外されたと遺書に書かれていたのよ…５月10日にあんたがイワマツグループのオーナー様に対してボーゲン吐いたことも含めて、もうこらえへんと怒っていたわよ!!…なによ…なんで淡泊眼《しろいめ》でうちを見るのよ!!」
健太は、ものすごく怒った声で敏江に言うた。
「よーくんがゆりこちゃんをドロボーしたから虫けらと言うた!!よーくんは大杉くんと同じ英才だから虫けら以下なんだよ!!」
（ドカッ!!）
ブチ切れた敏江は、健太を右足で100回以上けつりながら（けとばしながら）怒鳴りつけた。
「あんたのせいで、よーくんがひどく傷ついたのよ!!あんたのせいで、大杉くんがやくざに殺されたのよ!!あんたのせいで、義兄《おにい》ふたりと孫市くんが交通事故で亡くなったのよ!!あんたのせいで、保険金を全部ボッシュウされたのよ!!…あんたのせいで、うちら家族が肩身のせまい思いをしているのよ!!…健太!!」
よりし烈な怒りを込めて健太をけつった敏江は、真っ赤な目から大量の涙を流しながらワナワナと震えていた。
見かねた美月は、ごはんをたくさん残したあと居間から出ていった。
周布作《しゅうさく》は、ヘーゼンとした様子で新聞を読んでいた。
敏江は、ものすごく怒った声で健太に言うた。
「健太はもうアカンね…やっぱりあんたは市外《よそ》で働くことは無理ね!!市外《よそ》で暮らすことも無理ね!!…三浦工業《みうら》を懲戒免職《ついほう》されたしもうアカンね…こなな気持ちでどないすんねん…再就職先《つぎのあて》は、健太ひとりでどうにかしなさい!!うちらは助けへんから…」
敏江からボコボコにいて回された健太は、ヨレヨレの身体でおきあがったあと居間から立ち去った。
敏江は、右手で髪の毛を思い切りかきむしった。
（ブロロロロ…）
またところ変わって、蒼社川《そうじゃがわ》の河口《かこう》付近にかかる城東橋《じょうとうばし》（産業道路沿いにかかる橋）の歩道の真ん中にある休憩スペースにて…
ひとりぼっちでベンチに座っている健太は、半田浩二さんの歌で『海になれなれ夢の中』を震える声で歌っていた。
河口付近の砂州《すなち》に、群れをなしている海鳥《むくどり》たちが羽を休めていた。
この時間は、まだ干潮《ひきしお》であったので、水が少なかった。
脇の車道に、たくさんの車両《くるま》が往来していた。
敏江からボコボコにいて回されてボロボロに傷ついた健太は、ひどく落ち込んでいた。
この時、自分は市外《よそ》で暮らすことも働くこともできない…に気がついた。
ゆりこを忘れるために、市内《じもと》の事業所《かいしゃ》をやめて松山市《マッチャマ》の三浦工業《みうら》に再就職した…
ゆりこを忘れようと必死になって働いた…
なにもかもガマンしていたのに…
幸せになれなかった…
ガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンして…
人の何億倍もガマンしてがんばったのに…
なんで、幸せになれんかった…
神さまは…
ぼくを見離したのか？
（バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサ…）
この時、羽を休めていた海鳥《むくどり》たちが砂州《すなち》から群れをなして飛び立った。
同時に、大量の海水が河口に流れ込んだ。
河口は、あっと言う間に満水になった。
海鳥《むくどり》たちは、群れをなして鳴き声をあげながら空を飛んでいた。
健太は、大量の涙で濡れた眼差しで空を見上げていた。
またところ変わって、今治市枝掘町《しないえだぼりちょう》にある大きめサイズの木造２階建ての家にて…
家は、健太の実家であった。
家の居間に、健太と敏江と周布作《しゅうさく》と美月と周布作《しゅうさく》のオイゴの代木豪郎《しろきたけろう》（23歳・放送大学（通信制大学）の学生）の５人がいた。
居間のテーブルの上には、美月が作った朝ごはんがならんでいた。
周布作《しゅうさく》は、ごはんを食べずに新聞を広げて読んでいた。
美月は、物憂げな表情を浮かべながら朝ごはんを食べていた。
健太は、ナマイキな表情を浮かべていた。
（バーン!!）
ブチ切れた敏江は、平手打ちでテーブルをバーンと叩いたあと健太を怒鳴りつけた。
「健太!!」
「なんやねんもう〜」
「あんたね!!プンとはぶてて（ひねくれている）いる場合じゃないわよ!!」
「はぐいたらしいんだよボケ!!」
敏江は、よりし烈な怒りを込めて健太を怒鳴りつけた。
「健太!!先週の金曜日の朝、会社の前で近くにある事業所《よそのかいしゃ》の男性従業員《じゅうぎょういん》さん数人をどついたわね!!」
健太は、怒った声で敏江に言うた。
「むしゃくしゃしていたから、事業所《よそ》の男性従業員《クソアホンダラれんちゅう》をどついたんや!!」
敏江は、よりし烈な怒鳴り声を健太にぶつけた。
「なんで事業所《よそ》の男性従業員《じゅうぎょういん》さんたちにあななひどいことをしたのよ!?」
健太は、怒った声で敏江にハンロンした。
「男性従業員《よそもん》が全部悪いからどついたんや!!朝のセーソーコンカツだとウソついて、三浦工業《うち》の女性従業員《オーエル》さんたちにえげつないことしよったんや!!」
健太がクソナマイキな表情で言うたので、ブチ切れた敏江はしょうゆが入っているびんをぶつけた。
（ゴツーン!!）
ぶつけられた健太は『なんや!!やるんか!!』と言うて敏江を怒鳴りつけた。
そこから、健太と敏江はバリゾーゴンを繰り広げた。
「あんたはなにをかんがえてあななことしたのよ!?」
「男性従業員《よそもん》がオレに対して『あわれよのぉ〜』と言うて嗤《あざわら》ったからやっつけただけや!!オレは被害者なんだよ!!」
「ドアホ!!」
（バシャ!!）
ブチ切れた敏江は、みそ汁が入っている両手鍋を健太にぶつけた。
両手鍋は、健太の頭にかすったあと後ろの壁にぶつかった。
緑色のジュラク壁がみそ汁でベトベトに濡れた。
（パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!パチーーーーン!!…）
ブチ切れた敏江は、よりし烈な怒りを込めて平手打ちで健太の顔を100回以上たたいた。
健太の顔を平手打ちで思い切りたたいた敏江は、真っ赤な目で健太をにらみつけた。
健太の両方のほほが赤紫色にそまったと同時にブクブクと腫《は》れた。
敏江は、ワナワナと震わせながら怒った声で健太に言うた。
「あんたのせいで、きのう香我美《かがみ》さんが首を吊って亡くなられたのよ!!…あんたのせいで任されていたお仕事を外されたと遺書に書かれていたのよ…５月10日にあんたがイワマツグループのオーナー様に対してボーゲン吐いたことも含めて、もうこらえへんと怒っていたわよ!!…なによ…なんで淡泊眼《しろいめ》でうちを見るのよ!!」
健太は、ものすごく怒った声で敏江に言うた。
「よーくんがゆりこちゃんをドロボーしたから虫けらと言うた!!よーくんは大杉くんと同じ英才だから虫けら以下なんだよ!!」
（ドカッ!!）
ブチ切れた敏江は、健太を右足で100回以上けつりながら（けとばしながら）怒鳴りつけた。
「あんたのせいで、よーくんがひどく傷ついたのよ!!あんたのせいで、大杉くんがやくざに殺されたのよ!!あんたのせいで、義兄《おにい》ふたりと孫市くんが交通事故で亡くなったのよ!!あんたのせいで、保険金を全部ボッシュウされたのよ!!…あんたのせいで、うちら家族が肩身のせまい思いをしているのよ!!…健太!!」
よりし烈な怒りを込めて健太をけつった敏江は、真っ赤な目から大量の涙を流しながらワナワナと震えていた。
見かねた美月は、ごはんをたくさん残したあと居間から出ていった。
周布作《しゅうさく》は、ヘーゼンとした様子で新聞を読んでいた。
敏江は、ものすごく怒った声で健太に言うた。
「健太はもうアカンね…やっぱりあんたは市外《よそ》で働くことは無理ね!!市外《よそ》で暮らすことも無理ね!!…三浦工業《みうら》を懲戒免職《ついほう》されたしもうアカンね…こなな気持ちでどないすんねん…再就職先《つぎのあて》は、健太ひとりでどうにかしなさい!!うちらは助けへんから…」
敏江からボコボコにいて回された健太は、ヨレヨレの身体でおきあがったあと居間から立ち去った。
敏江は、右手で髪の毛を思い切りかきむしった。
（ブロロロロ…）
またところ変わって、蒼社川《そうじゃがわ》の河口《かこう》付近にかかる城東橋《じょうとうばし》（産業道路沿いにかかる橋）の歩道の真ん中にある休憩スペースにて…
ひとりぼっちでベンチに座っている健太は、半田浩二さんの歌で『海になれなれ夢の中』を震える声で歌っていた。
河口付近の砂州《すなち》に、群れをなしている海鳥《むくどり》たちが羽を休めていた。
この時間は、まだ干潮《ひきしお》であったので、水が少なかった。
脇の車道に、たくさんの車両《くるま》が往来していた。
敏江からボコボコにいて回されてボロボロに傷ついた健太は、ひどく落ち込んでいた。
この時、自分は市外《よそ》で暮らすことも働くこともできない…に気がついた。
ゆりこを忘れるために、市内《じもと》の事業所《かいしゃ》をやめて松山市《マッチャマ》の三浦工業《みうら》に再就職した…
ゆりこを忘れようと必死になって働いた…
なにもかもガマンしていたのに…
幸せになれなかった…
ガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンして…
人の何億倍もガマンしてがんばったのに…
なんで、幸せになれんかった…
神さまは…
ぼくを見離したのか？
（バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサ…）
この時、羽を休めていた海鳥《むくどり》たちが砂州《すなち》から群れをなして飛び立った。
同時に、大量の海水が河口に流れ込んだ。
河口は、あっと言う間に満水になった。
海鳥《むくどり》たちは、群れをなして鳴き声をあげながら空を飛んでいた。
健太は、大量の涙で濡れた眼差しで空を見上げていた。
