乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

【夢の振り子】

イワマツグループの全メンバーたちは、正月三が日も休まずに海外と沖縄の各地で班ごとの活動に取り組んでいた。

そんな中、どーでもええくだらんもめごとが日本《ほんど》で発生した。

時は、1月1日の夕方6時頃であった。

またところ変わって、今治市枝掘町《いまばりしえだぼりちょう》にある特大豪邸にて…

特大豪邸は、一恵《かずえ》の実家であった。

特大豪邸には、一恵《かずえ》の両親と住み込みの家政婦さんの3人が暮らしていた。

特大豪邸の大広間にて…

大広間には、一恵《かずえ》の両親と福也《さちや》と華代《かよ》と斐紹《あやつぐ》と一恵《かずえ》と16歳の拡紹《ひろつぐ》と和利《かずとし》が向かい合って座っていた。

大きめのテーブルの真ん中に、大きめサイズのドナベが乗っているイワタニのカセットコンロが置かれていた。

その近くになべに入れる具材が入っている大きめの容器が置かれていた。

この時、和利《かずとし》がものすごく怒った表情で一恵《かずえ》の両親に言うた。

「なんだよこれは一体!!…オレ、きょうはバイトがあるから行けれんというたのに、なんで勝手なことをしたんぞ!!」

端にいた福也《さちや》と華代《かよ》がおたついた声で和利《かずとし》に言うた。

「おい和利《かずとし》…そんなにイライラするなよ…」
「嫂《おねえ》さまのおとーさまとおかーさまが一緒にごはん食べたいといよんのに、そんなにイライラしていたらしんどいわよ。」
「ふざけんなよ!!きょうはものすごくいそがしいから行かなきゃいけなかったんだぞ!!」

一恵《かずえ》の両親は、過度にやさしい声で和利《かずとし》に言うた。

「和利《かずとし》くん、ごめんね…わしらは悪気が休ませたのじゃないんだよ。」
「なんで休ませたのだ!!」
「だから、おとーさんがみんなでおなべを食べたいといよるから、うちがたのんだのよ…バイト先の人が『許可します』と言うてくださったのよ…だから安心してね。」
「安心できるかよ…結局あんたらは何がしたいんだよ!?」
「私たちは、和利《かずとし》くんの今後の人生設計《ライフプラン》などを話したいんだよ。」

一恵《かずえ》の両親は、和利《かずとし》に対して人生設計《ライフプラン》などを話し合いたいと言うたが、30代後半になった和利《かずとし》にとってはものすごく苦痛であった。

和利《かずとし》は、2010年3月末に以前勤めていた広告代理店をやめたあと、飲食店でバイトをしていた。

一恵《かずえ》の両親は、和利《かずとし》が飲食店でバイトをすることに強い不満を抱いていた。

和利《かずとし》をなんとかしたい…

だから、両親は一恵《かずえ》たちを家に呼んだ。

テーブルの真ん中に置かれているガスコンロの上に載っているドナベに入っているお湯がふっとうしたので、一恵《かずえ》の父はドナベの中に豚肉とお野菜と豆腐《とうふ》などを入れた。

ドナベの中に具材がたくさん入ったので、一恵《かずえ》の父はフタをしめた。

その後、一恵《かずえ》の母が過度にやさしい声で和利《かずとし》に言うた。

「和利《かずとし》くん。」
「なんでしょうか?」
「和利《かずとし》くんは、子どもの時にどんな職業につきたいと思っていたの?」

和利《かずとし》は、ひねた声で言うた。

「なんでそんなことを聞くんぞ!?」

一恵《かずえ》の母は、過度にやさしい声で和利《かずとし》に言うた。

「なんでって、どこの家でも親御《おや》は子どもに『将来どんな職業につきたいの?』と言うわよ。」
「言うたって、否定するだけだ!!」
「親御《おや》は子どもが言うたことに意見を言うのよ。」
「だから、なんで意見を言うのだよ!!」
「なんでって…」
「いちいちいちいちはぐいたらしいんだよ!!」
「和利《かずとし》…」

この時、華代《かよ》がおたついた声で和利《かずとし》を止めたあと一恵《かずえ》の母にわびを入れた。

「ああ、ごめんなさい…ちょっとこの子は…不安定になっているのです…」

一恵《かずえ》の母は、過度にやさしい声で言うた。

「いいのよいいのよ…和利《かずとし》くんはお腹がすいていたからキゲンが悪いだけよ。」
「…だといいのですけど…」

ひと間隔おいて、一恵《かずえ》の母は、拡紹《ひろつぐ》に対してやさしく声をかけた。

「拡紹《ひろつぐ》くん。」

拡紹《ひろつぐ》は、ものすごくしかめた表情を浮かべていた。

それでも、一恵《かずえ》の母は拡紹《ひろつぐ》に対してやさしく声をかけた。

「拡紹《ひろつぐ》くん、どうしたのかな?…つらいことでもあったのかな?」

一恵《かずえ》の母の呼びかけに対して、拡紹《ひろつぐ》はなにも答えなかった。

拡紹《ひろつぐ》は、ちいちゃい時から一恵の言いなりになってお受験に取り組んでいたことが原因で表情がネクラになっていた。

幼稚園から入るエスカレーター式の名門校のお受験に落ちた…

つづいて、小学校から入るエスカレーター式の名門校のお受験も落ちた…

そして、アイコー(松山の中高一貫校)の受験も落ちた…

三度とも、お受験が失敗した…

だから、高校は一恵の両親のカオで私立高校《さんりゅういかのこうこう》に進学した。

今の拡紹《ひろつぐ》は、高校《ガッコー》から退学《ツイホー》される危機にひんしていた。

入学した直後から学校で暴れまわるケイコウが目だったことが原因であった。

だから、拡紹《ひろつぐ》は心のゆとりがなかった。

それでも一恵《かずえ》の母は、拡紹《ひろつぐ》にやさしく呼びかけた。

「拡紹《ひろつぐ》くん…高校は楽しい?」
「なんや!!なんやオドレ!!」

この時、ブチ切れた斐紹《あやつぐ》が酒が入っているおちょこを一恵《かずえ》の両親にぶつけた。

一恵《かずえ》の父が困った声で言うた。

「どうしたんだね斐紹《あやつぐ》くん…」

斐紹《あやつぐ》は、ものすごく怒った声で言うた。

「拡紹《ひろつぐ》は、学校で暴れまわってばかりいたから退学《ツイホー》の危機にひんしているのだよ!!」
「退学《ツイホー》の危機にひんしてる?」
「あんたが拡紹《ひろつぐ》を甘やかしてばかりいたから学校で暴れまわったんや!!」
「そんな〜」

一恵《かずえ》は、ものすごく怒った声で言うた。

「最悪だわ!!三度のお受験を失敗したから、あなな私立高校《さんりゅういかのツッパリこう》しかなかったのよ!!…それが分かっているのに、なんでいらんことしたのよ!?」

一恵《かずえ》の母は、ものすごく困った声で一恵に言うた。

「悪かったわよ…だけどあのときは…拡紹《ひろつぐ》くんの偏差値《セーセキ》では受験する県立《コーリツ》がどこにもなかったのよ…だから…」
「だからどうしたと言うのよ!?」
「だから、知っている人に頼んで…」
「オドレらはぐいたらしいんだよ!!」

ブチ切れた斐紹《あやつぐ》は、席を立ったあと右足で席をけとばした。

(ガーン!!)

その後、斐紹《あやつぐ》は『むしゃくしゃしているからマージャンしてくらぁ〜』と言うて外へ出て行った。

一恵《かずえ》の両親たちは、ものすごくつらい表情で斐紹《あやつぐ》の背中を見つめていた。

斐紹《あやつぐ》が怒鳴り声をあげたことが原因で食卓の雰囲気がどす黒く淀んだと同時にものすごく淀んだ空気で新年を始めることとあいなった。
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