乳房星（たらちねぼし）〜再出発版

【おだやかな構図・その２】

ヨリイさんは、マァマとドナ姐《ねえ》はんにつらい声で話した。

「ジナさん。」
「施設長。」
「これから話すことは、酷《こく》なことばかりで、よーくんが聞いたらひどく傷つくかもしれない…内容によっては再起不能におちいる危険性をはらんでいるから…それは承知の上で聞いてください。」
「かしこまりました。」

ヨリイさんは、ものすごくつらい表情でマァマに言おうとした。

（ピンポーン…）

「はーい。」

ちょっとその時に、呼鈴《よびりん》が鳴ったので子守女さんが応対に出た。

「ジナさん、ドナさん、テオドーラさん、ゆかさんとイヴァナちゃんがお越しになりました。」
「あっ、はーい。」

この時、おねまきの準備などを終えたテオドーラさんが広間に入った。

ゆかさんとイヴァナが医療事務スタッフさんたち20人と一緒に部屋に入った。

マァマは、ゆかさんとイヴァナに声をかけた。

「ゆかさん、イヴァナちゃん。」
「ジナさん、遅い時間にもうしわけございません。」
「いいのよいいのよ…イヴァナちゃんどうしたの？」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

ゆかさんの横にいるイヴァナは、くすんくすんと泣いていた。

ゆかさんは、マァマにわけを話した。

「イヴァナちゃん…ヨシタカさんが恋しくて泣いているのよ。」
「よーくんに会いたいのね…イヴァナちゃん。」

マァマは、やさしい声でイヴァナを呼んだ。

イヴァナは、マァマの胸に抱きついたあとくすんくすんと泣いた。

マァマは、イヴァナをやさしくなぐさめた。

「よしよし、よしよし…イヴァナちゃん…よしよし…」

ヨリイさんは、心配な表情でドナ姐《ねえ》はんに言うた。

「ドナさん。」
「なあに？」
「本当に大丈夫なの？」
「大丈夫よ…ジナ姐《ねえ》はんたちがついているから大丈夫…イヴァナちゃんは、よーくんが恋しくなったから泣いていただけよ。」
「そうよね。」

この時、テオドーラさんがマァマに声をかけた。

「ヨシタカさまとデミーがお風呂から上がりました。」

このあと、お風呂場から白のバスローブ姿の私と肌色のＧＵのサテンパジャマ姿のデミーが出た。

「ゆかさん、イヴァナ。」
「あらヨシタカさん。」
「ゆかさん、イヴァナ…」
「イヴァナちゃんは、ヨシタカさんが恋しくて泣いていたのよ。」
「イヴァナ。」
「イヴァナちゃん、よーくんとデミーちゃんよ。」

マァマは、くすんくすんと泣いていたイヴァナをゆっくりと私とデミーのもとへ寄せた。

イヴァナは、私の右腕に抱きついた。

デミーは、私の左腕に抱きついた。

ゆかさんの横にいるミンジュンさんは、ソワソワしていた。

ヨリイさんは、心配な表情で私に言うた。

「よーくん。」
「ヨリイさん。」
「よーくん大丈夫？」

ドナ姐《ねえ》はんは、心配な表情でヨリイさんに言うた。

「よーくんのお嫁さんは、フランソワさんたちと話し合って決めるのよ…まだイヴァナちゃんにするかデミーちゃんにするかは決まってないのよ。」
「そりゃそうだけど…」
「施設長、ここでは話し合いをすることは無理よ…これからジナ姐《ねえ》はんは、ゆかさんとテオドーラさんと一緒によーくんとイヴァナちゃんとデミーちゃんのサポートに入るから…レストランヘ行きましょう。」
「そうね。」

このあと、ゆかさんとテオドーラさんは、私とイヴァナとデミーを和室ヘ誘導した。

和室にはお布団が敷かれていた。

私とイヴァナとデミーが和室に入ったあと、ゆかさんとテオドーラさんが和室に入った。

その後、サポートに入った。

ドナ姐《ねえ》はんは、ヨリイさんと一緒に部屋を出たあと展望レストランヘ移動した。