シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
回想)三年目の離婚
*********
朝から義母のアポなしの突撃訪問に遇った。
私の顔を見るなり話すのは子供の事。私はもうんざりしていた。
「弥紗さん、子供はいつになるのかしら?私が習っている大正琴のお友達の沼田さんの娘さんは去年結婚したばかりなのに、先日元気な男の子を生んだそうよ」
お茶を淹れ、お義母さんの好きな『文栄堂』のどら焼きを出し、ダイニングテーブルを囲む。
「そうですか…それはそれは嬉しい知らせですね」
私が笑顔を無理やり貼り付け、相槌を打つ。
「貴方と慧斗は結婚して次の結婚記念日が来れば三年目でしょ?」
「はい…慧斗さんも仕事でお忙しい人ですから…なかなか」
私が結婚した相手・桑原慧斗さんは横浜に本社を持つ大手不動産会社『インダストリー』の営業部部長。歳は三十一歳。
私が新入社員で入社し、本社の受付嬢として勤務。
彼に見初められて恋に落ちて交際一年で、三年前に結婚した。
慧さんは去年、心筋梗塞で倒れた祖父の引退を機に、部長に昇進。
多忙な毎日を過ごしている。
私自身も結婚後、仕事を続け、今は本社総務部勤務。互いに同じ社屋に居ながらも、すれ違っていた。
朝から義母のアポなしの突撃訪問に遇った。
私の顔を見るなり話すのは子供の事。私はもうんざりしていた。
「弥紗さん、子供はいつになるのかしら?私が習っている大正琴のお友達の沼田さんの娘さんは去年結婚したばかりなのに、先日元気な男の子を生んだそうよ」
お茶を淹れ、お義母さんの好きな『文栄堂』のどら焼きを出し、ダイニングテーブルを囲む。
「そうですか…それはそれは嬉しい知らせですね」
私が笑顔を無理やり貼り付け、相槌を打つ。
「貴方と慧斗は結婚して次の結婚記念日が来れば三年目でしょ?」
「はい…慧斗さんも仕事でお忙しい人ですから…なかなか」
私が結婚した相手・桑原慧斗さんは横浜に本社を持つ大手不動産会社『インダストリー』の営業部部長。歳は三十一歳。
私が新入社員で入社し、本社の受付嬢として勤務。
彼に見初められて恋に落ちて交際一年で、三年前に結婚した。
慧さんは去年、心筋梗塞で倒れた祖父の引退を機に、部長に昇進。
多忙な毎日を過ごしている。
私自身も結婚後、仕事を続け、今は本社総務部勤務。互いに同じ社屋に居ながらも、すれ違っていた。