シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~

「そろそろ、排卵日でしょ?弥紗さん」

後継者となる男児を切に望む義母の桑原留美(クワハラルミ)は私に妊活を強要し、排卵日まで把握していた。

「妊娠できないカラダじゃないでしょ?まぐわい(夫婦の営み)さえすれば、妊娠できるはず。今月こそ、慧斗とまぐわいをしなさい」
最初、まぐわいの言葉の意味が分からなかったが、お義母さんの故郷では夫婦の営みの事をそう言うらしい。

「それは重々承知していますが、慧斗さんは…」

でも、お義母さんに夫婦の営みに口を挟んで欲しくなかった。
無粋と言うか…
お義母さんのこういう所が嫌いだった。

< 3 / 90 >

この作品をシェア

pagetop