シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
私の勤務先は『清友会総合病院』
この地域ではベット四百床以上のベット数を誇る大病院。
持病持ちの高齢者向けの為に介護施設の併設を計画している。

院長はコロナ禍で有名になった高木隼也(タカギシュンヤ)先生。

従業員用の自転車置き場に自転車を停めていると心臓外科医の相馬柚希(ソウマユヅキ)先生が私に声を掛けて来た。

「今日は理沙ちゃんいないの?」

「あ、おはよう御座います。相馬先生。理沙は家でお留守番です」

「そっか…寂しいな…由紀(ユキ)」

「うん、きょうはりさちゃんとお姫様ごっこしようと思ってたのに…」

相馬先生の第三子・由紀ちゃんと理沙は大の仲良し。

相馬先生は大手製薬会社『ソーマ』の御曹司で、奥さんの眞彩(マヤ)夫人は大手ゼネコン『桐生建設』の令嬢で、相馬先生の父親の秘書を務めている。

共働きの二人。
上二人は既に小学校に入学。由紀ちゃんは理沙と同じ院内保育所に通所していた。

由紀ちゃんの保育所への送迎は相馬先生の役目。

相馬先生が由紀ちゃんの手を引いて片手にお昼寝布団の入った大きなバックを持つ光景も私にとっては見慣れた光景だ。
夫婦二人で子供を育てる。今風の夫婦だ。

「私が代わりに由紀ちゃん連れて行きますよ」

「いいの?頼むよ。神崎さん。朝の回診に遅れそうだったから、助かるよ…」

相馬先生は由紀ちゃんとお昼寝布団のバックを預け、慌てて走っていった。

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