シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
「どうしてそんな無茶したの?」

「失恋した友達に付き合ってちゃってつい・・・」

彼女は私と同い年だけど独身。独身だけに私よりも若々しい印象を受けた。
ブルべ肌の彼女にはアッシュグレーの髪色が良く似合う。
私も大和田さんと同じくアッシュグレーの髪に染めたいと思うが、病院の受付業務として、病院の顔になっている以上は無理。
いつも黒に近い色目のカラーリングで我慢していた。
「そう言えば、神崎さんって何で離婚したの?」

「え、あ」

ドリンク一本で食事が終わってしまった大和田さんは退屈なのか私の離婚理由を訊いて来た。

「姑との不仲かな」

「あ…そうなんだ…夫さんはマザコンだったの?」

「ん、あ・・・どっちつかずの中立派だったわね」

「ふうん。そうだ・・・この券買わない?」

大和田さんは持っていた長財布から何かの券を取り出した。

ドラックストアの割引券かと思い、受け取ってみれば・・・

「この券は何?」

「昨日飲んだ友人から買わされたの…その日仕事で行けないから買ってって…お代は四千円」

「これって婚活パーティーの招待券よね」

「うん、私、善意で買ってあげたんだけど…私、恋人が居るのよ…神崎さん、今恋人は?」

「いないけど…私子供が居るし」

「子供が居ても、恋はしたいでしょ?」

「いや、でも・・・買えない」

私は大和田さんに招待券を突き返す。





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