シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
普段は結婚式の披露会場となる大広間には同等数の結婚適齢期の男女が伴侶探しに奔走していた。

視察で会場に立つ慧斗さんの姿は一際目を惹いた。
彼もまた私と同じでバツイチだけど、見た目の良さ、ハイスペック、御曹司としてのセレブな御身分で中古物件でも高値を値が付くよね。

パーティーの参加者ではないのに、女性が次々と彼にアプローチを仕掛けて来る。

私はソフトドリンクを飲みながら一人で佇み、彼の様子を遠目で見学。
パーティーは始まったばかりだけど、恋人探しは当に諦めた。
ビュッフェを全種類平らげて、元を取って帰ろうと食に走った。

「神崎」

私が魚介類のパスタをトングでお皿に盛っていると隣に立った長身の男性が話し掛けて来た。

「えっ?御幣島事務長??」

御幣島累(ミテジマルイ)
渚先生と同じで高木院長の親戚筋。院長同様長身で、理知的な目と鼻筋の通った外人顔負けの彫りの深い顔立ち。


病院の事務部を統括する事務長で元大手コンサル会社『アクティビティコンサルティング』メディカル部門のコンサルタント。院内の裏方を一身に担い、院長の片腕として活躍した。歳は慧斗さんと同じ三十五歳。

「やはり、神崎か…似た女性が居ると思ってが、神崎本人か。此処で何してる?」

「事務長こそ…」

「俺は…」








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