シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
「初めまして、当院で受付業務を担当しています。神崎美沙と申します」

「受付?病院の顔の女性と交際しているのか?御幣島君」

「はい、ご紹介遅れて申し訳御座いません。増田先生」
増田先生ソファに足を大きく広げて座り、踏ん反り帰るように腰を下ろしていた。

院長を交え、応接ソファを囲み、話をしたが、増田先生は納得はいかないのか気難しい表情を浮かべた。

「ですから、その増田先生、御幣島と若菜様の縁談はなかった事に。若菜さんは若いし、こんな御幣島のようなアラフォーオヤジには勿体ないですよ」

院長は事務長をデスりながら、増田先生を納得させようと言葉を紡いだ。

「若菜は大変乗る気なんだが…まぁ~いい帰って、娘と相談する」

どうにか増田先生をお帰して、ピンチを脱した。

「オペよりも疲れたぞ…御幣島」

高木院長は盛大な溜息を吐いた。

「俺もですよ」

「若菜様の何処が嫌なんだ?」

「増田先生の噂はいい噂訊きません」

「でも、地元の貢献者だ。先生の力添えがなくては介護施設の建設は進まない」

「大切なスポンサーでありますが、俺の人生まで捧げたくはないですよ」

「神崎さんもこんな厄介な事に巻き込んですまない」

「いえ、院長」

< 62 / 90 >

この作品をシェア

pagetop