シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
今日は家に居ると言って保育所を休んだ理沙。

理沙の気まぐれにはほとほと疲れる。

事務長の告白から三日…返事はまだしていない。

でも、頭の中には寂し気な顔の慧斗さんが焼き付いて離れない。

私の答えは決まっているはず。

私と理沙を幸せにしてくれそうな相手は事務長だと思う。

お義母さんには二度と会いたくない。

大きなブレーキ音が耳に届いでいたはずなのに、考え事で気がそっちに向かい、反応が少し遅れた。
その瞬間、ドンと大きな音と一緒にカラダに大きな衝撃を受け、その場に投げ出された。


強く頭を道路に打ち付け、全身に痛みを感じてた。段々と意識が遠のいていく。

私を撥ね飛ばした黒の車のタイヤがアスファルトを思いっきり擦り、進行方向とは逆に走り去っていった。

その次の瞬間、意識がなくなった。

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