シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
「痛い…」

「何処が痛い?」

私に付き添う男性は私に優しく問いかける。
「頭が…痛い」

「ナースコールしたし、誰かが来るまで待ってろ。弥紗」
「意識を戻したんだね…神崎さん」

私の元に駆け付けたのは伊集院先生。

馴染みのある伊集院先生の顔を見て安堵したのか自然と瞳に涙が浮かぶ。

私の腕には点滴の管が繋がれ、ずっと一定のリズムで聞こえていた電子音は私の脳波を示す機械から発せられた音だと理解した。


「私、どうして此処いるの?」

「何も覚えていないのか?神崎さん。君は車に撥ねられたんだ」

「えっ?」

「・・・そうなんだ」

無理に思い出そうとすると又ズキズキと頭が痛んだ。


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