シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
幸い、撥ね飛ばされたが、骨には異常がなく、全身の打撲と切り傷は全治三週間、打った頭部のCTにも異常が見られなかった。

私のそばに居た慧斗さんの事以外の人達の事は全部覚えていた。仕事にも日常生活にも問題なかった。
彼の存在だけが私の記憶からぽっかりと消えていた。

「本当に思い出せないの?慧斗さんが理沙ちゃんのパパだよ。弥紗」

お見舞いに来たお姉ちゃんが驚きべき事実を教えてくれた。



「慧斗さんが…理沙のパパ??」

「そうだよ…弥紗」

頭の中にある記憶の引き出しを必死に引き出すと又激しい頭痛に見舞われ、ズキズキと痛んだ。

「ダメ、思い出せない」

「今は無理に思い出させない方がいい」

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